吉田兼好の徒然草に、芸事は人に見せなければ上達しない。ある程度上手くなってから見せようとすると、結局上達せずに終わるという意味合いの言葉があります。
文章を上達させたいという思いがあり、この日記を始めてみました。駄文でお目汚しではあると思いますが、自分の頭の中にある読書の感想をアウトプットして、記憶に読書で得た知識を定着させようという試みでもあるので、ご容赦下さい。
最初の本は「父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話」です。
一応経済学部ですし、経済の本でブログをスタートさせました。この本はタイトルにもあるようにわかりやすいです。そしてそれだけではなく経済についてしっかりと語っています。例えば、世界で格差が生まれた理由については、地域の環境や位置関係によって大きな影響を受けたことが書かれています。
食べ物が手に入らないところで、なんとか食べ物を作ろうとしたために農耕が生まれ、技術が発達していったこと。食べ物が豊富にあったところでは備える必要がなかったので文化は生まれたが技術は発展しなかったこと。
東西に長いユーラシア大陸では同じような環境で農耕技術が使えたので、技術が進歩していったが、南北に長いアフリカでは環境が違って同じ技術が伝播していくのが難しかったため、なかなか技術が進歩していかなかったことなどです。
ヨーロッパが植民地を世界中に作り、先住民たちが支配されたのは決してヨーロッパ人の方が賢かったわけではなく単なる地理的条件による結果だと強調されていました。
技術が発達する条件がたまたまヨーロッパの方に揃っていただけだったというわけです。
この本ではこのような歴史上の実例だけではなく、SF映画や物語など平易な例を挙げながら非常にわかりやすく経済について解説しています。
例えば機械化が進んだ未来の話をする際にはネガティブな例としてマトリックスを挙げて説明するなどです。機械に支配された社会としてとてもイメージしやすい例だからですね。
このようにわかりやすさを重視しているのは、著者が経済は経済学者に任せてよいものではなく、皆がそれについて知り、参加していくべきだと考えているからです。
そのような「経済が民主化された社会」を実現するため、著者はこの本をわかりやすい経済解説の本として書いたのです。また、著者は同時に文明論についても語っており、いわゆる環境問題など、市場社会の限界についても取り上げ警鐘を鳴らしています。
この本を読めば経済の基本を一通り学べますし、市場社会の限界についても理解できます。何よりわかりやすくて、面白いので、とっつきやすい経済の本だと言えます。経済について基本を学びたい人にはお勧めできる本です。私もざっと経済学のおさらいができて、良い本でした。もう経済について学んできたよという方も是非読んでみてください。新しい発見があるはずです。
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